自己都合から会社都合・正当理由ある自己都合への離職理由の変更

離職票は自己都合退職(離職区分4D)だが実際やむを得ない理由により退職した場合

自己都合退職だと2カ月間または3カ月間の給付制限期間がありますが、失業給付を受けるハローワークでやむを得ない理由により退職したと判断された場合には特定理由離職者または特定受給資格者となり、給付制限がなくなります。また、特定受給資格者となる場合は自己都合退職の場合と比べ受給できる日数(所定給付日数)が増えます。

特定理由離職者とは、主に正当理由ある自己都合退職者のことです。

特定受給資格者は、主に会社都合離職者のことです。

所定給付日数は離職理由の他、雇用保険期間や年齢によって決定されます。

自己都合 正当理由ある
自己都合
会社都合
給付制限 あり なし なし
所定給付日数 普通 普通 多い

離職理由変更の手続き

離職票の離職理由が自己都合退職だけど実際はやむを得ない理由による離職の場合、失業給付の手続きをするハローワークへ申出ることによって離職理由が変更になる場合があります。

以下、実際の離職理由ごとの手続きを記載します

ただし、具体的な事情により手続き方法などは異なりますので、あくまで例としてご参照下さい。

解雇・退職勧奨

事業所から辞めるよう勧め離職に至った場合に、本人は事業主都合による離職と考えているが、会社は自己都合退職と判断している場合があります

事業主都合により離職者を出すと事業所が受給できる助成金に影響を与える場合があり、このため事業所は実際には事業主都合で退職させたにも関わらず自己都合退職として離職票を作成する場合があります

事業所によっては退職願を書かせそれを証拠として自己都合退職を主張します、よって事実と異なる内容で退職願等は書くべきではありません

退職願を証拠とされた場合、覆すのはかなり困難です

提出書類

・申立書(離職に至った経緯を記載)

 ※状況によっては第三者の署名が必要となります

 ※申立て内容を裏付ける資料があれば、資料を添付します

 
申立書に基づき、事業所管轄ハローワークから事業所へ事実確認を行います

事業所が事業主都合による離職を認めなければ、離職理由の変更は困難だと思われます

病気・ケガなど

病気・ケガなどによる退職の場合には、原則「退職時点で働き続けるのが困難であったことの証明」と、「現在働けることの証明」が必要です

提出書類

就労可否証明書というハローワークの様式があり、医師に上記2つを証明してもらう必要があります

よって退職時点で病院にかかっていない場合は、やむを得ない理由による離職への変更は困難と思われます

また、失業給付の受給は現在働けることが前提条件なので、現在働けないとの医師の診断がある場合は失業給付の受給ではなく、受給期間の延長手続となります

配偶者の転勤・再就職による別居の回避

配偶者の転勤などにより転居が必要となり、通勤が困難になった場合に該当します

通勤困難とは、通勤時間が概ね4時間以上かかることを言います

提出書類

配偶者の辞令・契約書など

離職理由変更の手続きの詳細

離職理由変更の手続きは具体的な離職理由により多岐に渡り複雑なため、詳細は個別に記載します。(順次追加予定)

病気、ケガ等
介護等、家庭事情の急変
通勤困難、通勤不可

要領上の記載

要領番号 内容 備考
50305 特定受給資格者の範囲
50305-2 特定理由離職者の範囲(2C) 一定の期間満了の場合
50305-2 特定理由離職者の範囲(3C・3D) 正当理由ある自己都合退職

要領には特受特理の範囲について記載されていますが、その中で離職票は自己都合であるが安定所の判断で離職理由が変更になる可能性のあるものを記載します。

離職票が自己都合だった場合に、ハローワーク側は「実際には自己都合退職ではないかどうか」を積極的に確認するわけではありません。どのような場合に自己都合退職から変わる可能性があるか事前に調べることで、ハローワークの窓口でスムーズに離職理由について相談したり、異議申し立てをすることができるようになります。

例えば特定受給資格者として「倒産」による離職が規定されていますが、これは通常、離職票発行の段階で会社管轄安定所がその事実を確認し離職理由が「解雇」となるのでここでは除外します。

 
厚生労働省 業務取扱要領

特定受給資格者の範囲

50305

事業所の移転による通勤困難

賃金の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと、又は離職の日の属する月の前6か月間にいずれか3か月以上あったこと(賃金遅配)

次のいずれかに予期し得ず該当することとなったこと(賃金低下)

・離職の日の属する月以後6 月のうちいずれかの月に支払われる賃金(歩合除く)の額が当該月の前6 月のうちいずれかの月の賃金の額に100 分の85 を乗じて得た額を下回ると見込まれることとなったこと

・離職の日の属する月の6 月前から離職した日の属する月までのいずれかの月の賃金の額が当該月の前6 月のうちいずれかの月の賃金の額に100 分の85 を乗じて得た額を下回ったこと

この基準(賃金低下)は次のいずれかに該当する場合に適用される

・離職の日の属する月以後の6カ月のうちいずれかの月に支払われる賃金と当該月より前6カ月のうちいずれかの月に支払われる賃金とを比較し、85%未満に低下することとなった場合

・離職の日の属する月より前の6カ月及び離職の日の属する月のいずれかの月の賃金と当該月より前6カ月のうちいずれかの月に支払われる賃金とを比較し85%未満に低下した場合

次のいずれかに該当することとなったこと(残業過多)

・離職の日の属する月の前6カ月のうちいずれか連続する3 か月において45時間を超える時間外労働が行われたこと

・離職の日の属する月の前6カ月間のうちいずれか1 月で100 時間を超える時間外労働が行われたこと

・離職の日の属する月の前6カ月間のうちいずれか連続した2 か月以上の期間の時間外労働を平均し1 か月当たり80 時間を超える時間外労働が行われたこと

・事業主が危険又は健康障害の生ずるおそれのある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険又は健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったこと

事業主が労働者の配置転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないこと

事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと

当該基準は次のいずれかに該当する場合に適用される

・上司、同僚等の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせに「故意」がある場合離職者より申立があり、特定の労働者を対象とした配置転換(事業所における通常の配置転換を除く)又は給与体系(例えば固定給が減額され、一部歩合制に変更がなされた場合等)の変更が行われていた事実があれば、事業主の「故意」があるものと考えられるため当該基準に該当する

なお、管理者が、部下の職務上の失態、勤務態度又は勤務成績等に不満がある場合、注意叱責することは通常起こり得ることであるから、そのことだけをもっては、当該基準に該当しない

・事業主が男女雇用機会均等法第11条に規定する職場におけるセクハラの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合

当該基準は、当該労働者が事業主(又は人事担当者)、雇用均等室等の公的機関(以下「事業主等」)にセクハラの相談を行っていたにもかかわらず事業主において雇用管理上の措置を講じなかったために離職した場合において該当する

この場合の「雇用管理上の措置を講じなかった」とは、事業主等に相談後、一定期間(概ね1カ月)においても、労働者の雇用継続を図る上での必要な改善措置(事業主による対象者に対する指導、配置転換等の措置)が講じられていない場合をいう

なお、事業主が直接の当事者であり離職した場合や対価型セクハラに該当するような配置転換降格、減給等の事実があり離職した場合においては、事業主が雇用管理上の措置を講じなかったものとみなされるものである

ただし、環境型セクハラのうち視覚型セクハラについては、例えば「隣の席の上司が自分ひとりに繰り返し卑わいな写真を見せて反応を見て喜んでおり、同僚に相談しても信じてもらえない」ような特定の労働者を対象とするものを除き、それにより離職を決意するに至る蓋然性が低いと考えられることから、原則として、当該基準には該当しないものである

事業主から退職するよう勧奨を受けたこと

次のいずれかに該当する場合に適用する

・企業整備における人員整理等に伴う退職勧奨など退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われ離職した場合

・希望退職募集への応募に伴い離職した場合

この場合の「希望退職募集」とは、希望退職募集の名称を問わず、人員整理を目的とし措置が導入された時期が離職者の離職前1年以内であり、かつ、当該希望退職の募集期間が3か月以内である場合をいう

事業所の業務が法令に違反したこと

次に該当する場合に適用される

事業所が法令違反の製品を製造し、あるいは販売する等被保険者の就職当時に事業内容と相違し又は、その製品の製造、あるいは販売を禁止する法令が新たに公布されたにもかかわらず従来どおりの製造、あるいは販売を継続している等、事業所の業務が法令に違反した場合であり当該法令違反の事実を知った後、3か月以内に離職した場合が該当する

また、就職時において、事業所の業務が法令に違反している場合においては、就職後事実を知った後、3ヶ月月以内において離職した場合は当該基準に該当するものである

なお、事業所において製造する製品が品質管理上の問題があった場合等はこの基準に当たらない

特定理由離職者の範囲

特定理由離職者は、離職区分2Cと3Cです。

2Cは契約期間満了の離職区分です。

離職理由が自己都合から正当理由ある自己都合に変わる場合、離職区分は4Dから3Cに変わります。

以下に特定理由離職者のうち、正当理由ある自己都合退職の判定基準について記載します。

 
50305-2

体力の不足 心身の障害 疾病 負傷 視力の減退 触覚の減退等によって退職した場合

妊娠、出産、育児等により退職し、雇用保険法第20条第1 項の受給期間延長措置を90日以上受けた場合

この基準は次のいずれにも該当する場合に適用される

離職理由が雇用保険法第20条第1項の受給期間の延長事由に該当すること

離職の日の翌日から引き続き30日以上職業に就くことができないことを理由として当該事由により受給期間の延長措置の決定を受けたこと

離職の日の翌日から引き続き職業に就くことができなかった日数が90日以上であること

延長開始日が離職日の翌日ではい場合は2の要件を満たさず、正当理由ある自己都合退職とはなりません

離職日の翌日から90日以内に、働くことができるとして受給資格決定の手続きを行った場合、③の要件を満たしません

父・母の死亡、疾病、負傷等のため、父・母を扶養するために退職を余儀なくされた場合、又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために退職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことによって退職した場合

父・母の死亡、疾病、負傷等に伴う扶養の例及び常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等の例は、あくまで例であり、この基準は「家庭の事情の急変」による退職が該当する

常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等により離職した者(心身に障害を有する者の看護含む)といえるためには、事業主に離職を申し出た段階で看護を必要とする期問がおおむね30日を超えることを見込まれていたことが必要である

なお、自家の火事、水害等により勤務継続が客観的に不可能又は困難となった理由があると認められるときも該当する

配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことによって退職した場合

配偶者又は扶養すべき親族と別居を続けることが、家庭生活の上からも、経済的事情等からも困難となったため、それらの者と同居するために事業所へ通勤が不可能又は困難な地へ住所を移転し退職した場合が、この基準に該当する

「配偶者」は、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含みその者が職業を有していると否とを問わない

次の理由により通勤不可能又は困難となったことにより退職した場合

結婚に伴う住所の変更

結婚に伴う住所の移転のために、事業所への通勤が不可能又は困難となったことにより勤務の継続が客観的に不可能又は困難となり退職した場合(事業主の都合で退職日を年末、年度末等としたような場合を除き、退職から住所の移転までの間がおおむね1か月以内であることを要する)に適用する

育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼

事業所の通勤困難な地への移転

自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと

「自己の意思に反して」とは、例えば住居の強制立退き、天災等による移転をいう

鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避

被保険者本人が事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ配偶者又は扶養すべき同居の親族と別居することを余儀なくされたために退職した場合に適用される

配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

被保険者の配偶者がその事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ或いは再就職のために、当該配偶者が住居を移転することとなった場合において被保険者本人が当該配偶者と同居を続けるために退職した場合をいう

この場合の「通勤困難」とは、次のいずれかの場合をいう

通常の交通機関を利用し、又は自動車、自転車を用いる等通常の方法により通勤するための往復所要時間(乗り継ぎ時間を含む)がおおむね4時間以上であるとき

被保険者が通勤に交通機関を利用すべきこととなる時間帯の便が悪く、通勤に著しい障害を与えるとき

姉妹サイト

心と体の健康、スピリチュアリティー、瞑想、チャクラなどについて解説!

失業や転職はストレス要因です。様々な方法で健康を維持しましょう。

失業給付

Posted by work