離職理由の変更:通勤困難及び通勤不可
離職票の離職理由が自己都合退職(4D)の場合でも、具体的な離職理由によっては正当理由ある自己都合退職(3C)へ変更となり、給付制限期間が無くなるなど離職者に有利となります。
正当理由ある自己都合退職への変更にはいくつかの規定があり、ここでは何らかの事情により通勤困難となったこと等による離職について説明します。
要領(正当理由ある自己都合退職に該当する場合)
次の理由により通勤不可能又は困難となったことにより退職した場合に該当する。
結婚に伴う住所の変更
育児に伴う保育所等の利用又は親族等への保育の依頼
事業所の通勤困難な地への移転
自己の意思に反しての住所の移転を余儀なくされたこと
鉄道、バス等運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
事業主の命による転勤等に伴う別居の回避
配偶者の事業主の命による転勤等又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
この場合の「通勤困難」とは、次のいずれかの場合をいう。
通常の交通機関を利用し、又は自動車を用いる等通常の方法により通勤するための往復所要時間がおおむね4時間以上であるとき
本人が通勤に交通機関を利用すべきこととなる時間帯の便が悪く、通勤に著しい障害を与えるとき
通勤困難及び通勤不可の場合の具体的手続き
通勤不可等の理由ごとに、要領及び手続について説明します。
下記に記載の提出書類はあくまで例です。
また、通勤困難の条件が概ね往復4時間以上であるため、明らかに4時間以上かかる場合以外はインターネットで時間を指定して通勤経路を検索した結果を印刷して安定所に持参すると良いと思われます。
結婚に伴う住所の変更
結婚に伴う住所の移転のために、事業所への通勤が不可能又は困難となったことにより勤務の継続が客観的に不可能又は困難となり退職した場合をいう
事業主の都合で退職日を年末、年度末等としたような場合を除き、退職から住所の移転までの間がおおむね1か月以内であることを要する
補足
退職から移転までが概ね1か月以内である必要があります。退職から移転まで期間が空きすぎていると移転を理由とした退職とは考えられないためです。
逆に移転後に退職した場合の定めはないものの、これも期間が空きすぎていなければ正当理由ある自己都合退職となると思われます。
提出書類
世帯用住民票(結婚したことの証明)
育児に伴う保育所等の利用又は親族等への保育の依頼
育児に伴う保育所等保育のための施設の利用又は親族等への保育の依頼のために、事業所への通勤が不可能又は困難となったことにより勤務の継続が客観的に不可能又は困難となったことにより退職した場合に適用する。
このような状態となったといえるためには、次の①②の双方に該当する必要がある。この場合において、「育児」とは小学校就学の始期に達するまでの乳幼児の保育をいう。
本人の住所若しくは職場の近隣又は通勤経路上の適当な場所に保育所等保育のための施設又は親族等がないこと。(当該施設又は親族等が適当な場所にあったとしても勤務の時間帯と保育の時間帯との関係等により、それぞれの利用も保育の依頼もできないという客観的な事情がある場合も含む。)
上記に掲げる以外の保育所等保育のための施設を利用したり、親族等に保育を
依頼するとすれば通勤が不可能又は困難となること。
提出書類
世帯用住民票(子の年齢の証明)
例えば、保育施設を利用した場合に通勤が困難となることの証明として、インターネット上での経路(保育施設経由の経路)の検索結果を印刷して添付すると手続きがスムーズになると思われます。
事業所の通勤困難な地への移転
移転後の事業所への通勤が、本人にとって不可能又は困難となる客観的事情がある場合に適用する。
提出書類
事業所の移転を証する書面
自己の意思に反しての住所の移転を余儀なくされたこと
「自己の意思に反して」とは、例えば住居の強制立退き、天災等による移転をいう。
提出書類
強制立ち退きや天災を証する書面
鉄道、バス等運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
他動的な原因による通勤困難な場合が該当する。
提出書類
他動的な原因を証する書面
事業主の命による転勤等に伴う別居の回避
本人が事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ、配偶者又は扶養すべき同居の親族と別居することを余儀なくされたために退職した場合に適用する。
補足
当該項目については要領上、転勤を前提とした雇用契約であるか否かの定めはありません。
提出書類
辞令等(転勤等の証明)
配偶者の事業主の命による転勤等又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
本人の配偶者がその事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ、或いは再就職のために、当該配偶者が住居を移転することとなった場合において、本人が当該配偶者と同居を続けるために退職した場合であり、次の①②のいずれかに該当する場合に適用する。
本人の配偶者が、事業主から本人と同居している住所地から通勤が困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられたこと。
本人の配偶者が、本人と同居している住所地から通勤が不可能又は困難な事業所に再就職したこと。
上記の事実に伴い本人が当該配偶者と同居を続けるために住所を移転することとなったが、その結果、移転後の住所地から事業所への通勤が不可能又は困難となることにより退職したことが必要である。
提出書類
配偶者の辞令
配偶者の就職を証する書面