算定対象期間及び受給要件の緩和

失業給付の受給要件は、「離職前2年間」の内に「基礎日数(出勤日や有休休暇の日)が11日以上ある月」が12か月あることです。

特定理由離職者・特定受給資格者に該当する場合は離職前1年間の内に6ヶ月でも受給要件を満たします。

離職前2年間(または1年間)を算定対象期間といいます。また、11日以上の基礎日数のある月の合計期間を被保険者期間といいます。

 
算定対象期間に疾病、負傷その他一定の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を算定対象期間に加算した期間について被保険者期間を計算します。(ただし、加算後の算定対象期間は最大でも4年間)

この算定対象期間の延長措置を「受給要件の緩和」といいいます。

例:退職前550日間(約1年半)病気休職し、賃金支払いがなかった場合

離職前2年間に11日以上働いた月が12カ月ないため、このままでは失業給付を受ける資格が発生しません。

このような場合、受給要件の緩和によって受給資格が発生します。

本来の算定対象期間(2年)

勤務
病気休職

緩和後の算定対象期間(2年+550日)

受給要件の緩和が認められる理由

50152

疾病又は負傷

事業所の休業

事業所の休業により労働者が賃金の支払を受けることができない場合とは、事業主の責めに帰すべき理由以外の理由による事業所の休業による場合

出産

出産は妊娠4か月以上(1か月は28日として計算する、したがって4か月以上というのは85日以上)の分娩とし、生産、死産、人工流産を含む流産、早産を問わない

出産は本人の出産に限られる

出産のために欠勤したと認められる期間は、通常は出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)前の日以後出産の翌日から8週間を経過する日までの間である

なお、労働協約により出産を理由とする休業期間中の解雇制限条項が設けられており、解雇制限期間が出産前について6週間以上、出産後については出産の日の翌日から8 週間以上となっている場合はその期間を出産のため欠勤した期間として差し支えない

事業主の命による外国における勤務

事業主の命による外国における勤務とは、いわゆる海外出向と称されるもので、事業主との間に雇用関係を存続させたまま、事業主の命により一定の期間海外にあるわが国の雇用保険の適用されない事業主のもとで雇用されるような場合

官民人事交流法第2 条第4 項第2 号に該当する交流採用

上記に掲げる理由に準ずる理由で、管轄安定所長がやむを得ないと認めるもの

なお、次の場合は、上記に掲げる理由に準ずる理由として取り扱う

同盟罷業、怠業、事業所閉鎖等の争議行為

これは、労働関係調整法第7 条にいう争議行為である

事業主の命による他の事業主のもとにおける勤務

これは、次の場合をいう

暫定任意適用事業所(任意加入の許可を受けたものを除く)への出向

取締役としての出向

65歳以上の者の出向

労働組合の専従職員としての勤務

これは、在籍専従職員についてのみである

親族の疾病、負傷等により必要とされる本人の看護

親族とは民法第725条に規定する親族、すなわち、6親等以内の血族、配偶者及、3親等以内の姻族をいう。なお、親族の配偶者についてはこれに準じるものと取り扱う

負傷等には、心身障害及び老衰が含まれる

育児

この場合の育児とは、3歳未満の子の育児とする

配偶者の海外勤務に同行するための休職

この場合、内縁の配偶者を含む

手続き

受給要件の緩和に該当する場合は、事業主が離職票を発行する際にその旨を記載し会社管轄安定所で内容確認を行うこととなっており、労働者側で特別に手続きが必要ではありません。

ただし、事業主が離職証明書にその旨を記入しなかった場合、このままでは受給要件緩和の措置が受けられません。この場合は受給資格決定手続き(失業給付受給手続き)の際に申し出をしましょう。安定所では一度離職票を受理した後、事業所管轄安定所へ受給要件緩和に該当する理由の有無を確認します。
また、例えば病気休職期間にかかる傷病手当金支給申請書の控えなど、緩和に該当することを証する書類がある場合は、それを持参した方が良いと思われます。

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