事業所非該当承認申請
雇用保険適用事業所の設置は原則として事業所ごとに行うこととなっていますが、出張所・営業所等で人事・経理上の指揮・監督等において独立していない場合であって、雇用保険に関する事務処理能力がない場合等は、同一企業内の他の事業所に包括して届け出ることができます。
これを事業所非該当承認といいます。
非該当承認は一の経営組織としての独立性を有しない施設について一の事業所として取り扱わないことを承認するものであり、単に事業所の便宜と簡素化を図るために行うものではありません。
要領によると上記のように便宜と簡素化のためでなく、非該当承認の要件は厳格ですが実際の事務取扱では事業所の便宜のため広く非該当承認を行う場合もあるようです。
非該当承認の対象となる事業所が県にまたがる場合等は、各都道府県労働局で調整が必要なため承認の判断について時間がかかります。
非該当承認が受けられなかった場合でも、その事業所から雇用保険の各届の提出をしなければならない訳ではなく、例えば各営業所に関する雇用保険の各届を本社で一括して作成し、各営業所を管轄する安定所へ提出することは可能です。(要領22001)
事業所非該当承認申請は、似た制度である労働保険の継続一括申請とは別な制度で、関連性は全くありません。
一の事業所として取り扱う基準(要領22002より)
・場所的に他の(主たる)事業所から独立していること
・経営(又は業務)単位としてある程度の独立性を有すること。すなわち、人事、経理、経営(又は業務)上の指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること
・一定期間継続し、施設としての持続性を有すること。
よって、上記基準を満たさない場合、非該当承認を受けられる可能性が高くなります。
また、県により施設の労働者数の基準(〇名以下でなけれなならない)があります。
非該当承認申請手続き
提出書類
・非該当承認申請書(4枚複写)
・事業所非該当承認申請調査書(県により異なる)
様式(東京) 事業所非該当承認申請調査書
提出先
非該当施設を管轄する安定所
非該当承認申請が認められた場合
認められると、その旨が安定所から通知されます。
既に適用事業所として設置されていた事業所が非該当施設となった場合、承認がされた日付で事業所は廃止となり、その事業所の被保険者は一括先事業所(本社等)の被保険者となります。
ただし、この廃止や一括先事業所への移動は安定所で処理するため、事業主が手続きすることはありません。
非該当承認申請書の記入例
基本的には欄のとおり記入します。以下では分かりずらい所を説明します。
⑥事業所番号
非該当承認を受けたい施設にかかる事業所番号を記入します。
承認を受けたい施設が出来たばかり等で適用事業所になっていない場合は事業所番号は存在しないため、空欄とします。
⑦労働保険料徴収の取り扱い
継続一括によって、承認を受けたい施設にかかる労働保険料を本社等で一括している場合は「いない」となります。
⑩各種帳簿の備付状況
〇が少ない程、承認を受けられる可能性が高くなります。
⑫雇用保険事務処理能力の有無
「無」の場合、承認を受けられる可能性が高くなります。
⑬申請理由
明確な決まりはありませんが、より具体的に記載した方が良いでしょう。
要領
概要
22051
イ
22002に示す基準により事業所と認められないものについては、それを単位として雇用保険に関する事務を行わないものであるが、事業所として取り扱うか否かの決定は慎重に行い、事業所ごとに事務を処理すべき原則に反しないよう留意しなければならない。
したがって、事業所非該当の取扱いを行うに当たっては、1 人ないし2 人程度の信号所、短期間の出張員の駐在する場所等明らかに事業所と認められないものを除き、次の手続により事業主に雇用保険事業所非該当承認申請書を提出させ、事業所として取り扱うか否かを決定する。
ロ
事業所非該当承認は、被保険者に関する届出その他の処理単位である「事業所」の取扱いについてのものであり、徴収法施行規則による適用徴収事務の処理単位としての「事業場」の取扱いにまで効力が及ぶものではない。
ハ
事業所非該当承認は、一の経営組織としての独立性を有しない施設につき一の事業所として取り扱わないことを承認するものであり、徴収法第9条の規定による継続事業の一括の認可や本社等で一括して事務処理を行う場合(22061)のように、賃金計算等の事務をコンピュータ等により集中管理する事業について、事業主及び行政の事務処理の便宜と簡素化を図るために行うものではない。
ニ
事業所非該当の取扱いを行うこととすると、徴収法施行規則上の事業場の単位と一致しなくなるときは、原則として、この取扱いを行わない。
したがって、継続事業の一括の認可がなされている施設(一括で処理をする施設)については、当該施設は、認可の前提として徴収法施行規則上の事業場として認められているものであるから、原則として、事業所非該当の取扱いを行わないものである。
ただし、22002のイの基準に照らして明らかに一の事業所と認められないような施設について継続事業の一括の認可に係る被一括事業とされている場合であって、当該認可がなされていることをもって事業所非該当の取扱いを行わないこととすると、むしろ雇用保険関係事務の適正な取扱いの妨げとなることが明らかであるときは、この限りでない。
ホ
22002 のイの(イ)に該当する場合は、前記イのごとく明らかに事業所と認められないものを除き、22052の申請に対して承認があるまでは一の事業所として事務を行う。
事業主の申請
22052
事業主は、22051 のイに示す1 人ないし2 人程度の信号所等を除き事業所に付属する場所又は施設(支店、出張所、分室、作業所、詰所等その名称のいかんを問わない)について、その名において、その施設に係る事業所非該当承認申請書(安定所用、協議用、事業主控、通知用及び連絡用の4 枚複写式になっている)を作成し、申請に係る施設の従業員数がわかる書類、当該施設に係る他の社会保険の取扱い状況が分かる書類、会社の組織図等(会社案内、会社パンフレット等)その他の申請書の記載事項が確認できる書類を添えてその施設の所在地を管轄する安定所の長に提出しなければならない。
事業所の取り扱い-趣旨
22001
事業主は、法の規定により行うべき被保険者に関する届出その他の事務を、その事業所ごとに処理しなければならない。
雇用保険に関する事務をその事業所ごとに処理するとは、例えば、資格取得届、資格喪失届等を事業所ごとに作成し、これらの届出等は個々の事業所ごとにその事業所の所在地を管轄する安定所に提出すべきであるという趣旨である。
したがって、現実の事務を行う場所が個々の事業所である必要はなく、例えば、本社において事業所ごとに書類を作成し、事業主自らの名をもって提出することは差し支えない。この場合には、各届書の事業所欄には必ず個々の事業所の所在地を記載し、事業主住所氏名欄には、その本社の所在地及び事業主の氏名を記載する。