雇用保険被保険者資格喪失届記載要領
資格喪失届の記載については、特に離職理由などについて分かりづらいところが多いと思います。以下に要領を抜粋してまとめましたので、事務担当者の方などはご活用下さい。
要領抜粋
被保険者は、離職し、又は死亡した場合のほか、次の各号に該当するに至った場合には、被保険者資格を喪失する。
・法第6条第6号の規定に該当することとなった場合(20604 参照)(雇用保険の適用除外を受ける公務員の身分となったとき)
・適用事業に雇用されていた被保険者が、同一の事業主の適用事業以外の事業を行う事業所に転勤した場合(20301 参照)
・適用事業に雇用されていた被保険者が在籍出向した場合であって、出向先で新たに被保険者資格を取得することとなったとき(在籍専従の場合も同様)
・適用事業に雇用されていた被保険者が、在籍出向し、出向先で新たに被保険者資格を取得していた場合であって、出向元に復帰し、出向元で再度被保険者資格を取得することとなったとき(在籍専従の場合も同様)
・任意加入の許可を受けた任意適用事業に雇用されていた被保険者について、当該事業が任意加入の認可の撤回又は保険関係の消滅の認可を受けた場合
6欄(喪失原因)は、統計等のため使用されるものであるので、次により、正確に記載する
「1」:離職以外の理由
「2」:3以外の離職
「3」:事業主の都合による離職
「1」に該当するもの
死亡、21201のロの理由等離職以外の理由による被保険者資格の喪失の場合が「1」に該当する
「2」に該当するもの
離職による被保険者資格の喪失のうち、次のものが「2」に該当する
天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇
天災その他やむを得ない理由とは、天災又は天災に準ずる程度の不可抗力に基づき、かつ、突発的な理由であって、事業主が社会通念上とるべき必要な措置をもってしても事業を継続することが不可能であるようなものをいう
したがって、例えば、事業所が焼失した場合(事業主の故意、重過失による場合を除く)は、これに含まれるが、積雪寒冷地の事業所が積雪等のため事業所を廃止する場合は、従来通年事業を行っていたか、あるいは通年事業の開始に踏み切ったにもかかわらず、通常予想されない積雪のためやむを得ず事業を廃止するに至ったときを除き、これに含まれず、また、経営不振のため事業を廃止する場合も当然含まれない
また、事業の継続が不可能になったとは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいうものであるが、この場合においても、事業の現況、資材、資金等の見通しから全労働者を解雇する必要に迫られないのに余分に解雇された者は、この理由によって解雇されたものには該当しない
被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇
52202のイからトまでの場合である
契約期間の満了
契約期間の満了とは、例えば次のような場合である
3年以内の確定期限のある労働契約が期間満了によって終了した場合(例えば、2か月契約の臨時工等)
労働契約が反復更新することを常態としているものとは解されない場合においては、当該契約期間の満了に伴い離職する場合は、期間満了として扱うこととなる
一方、契約を反復更新することを常態として雇用されている場合(契約期間の定めのある労働契約が1回以上反復更新され、雇用された時点から継続して3年以上雇用された場合をいう)における当該契約期間満了に伴い離職する場合については、その契約の更新を打ち切る時期があらかじめ明らかにされている場合(契約更新時に当該契約が最後の契約更新であることを明らかにされている場合をいう)には、契約期間の満了によるものとして取り扱うが、これ以外の場合は、契約期間の満了以外のものとして取り扱い、離職時の事情に応じて、事業主の都合により契約が更新されない場合は事業主都合による解雇、離職者の都合により更新されない場合は任意退職に分類する
なお、契約期間の途中における離職については、具体的事情に応じて、事業主都合による解雇・任意退職等に分類する
また、定年到達後1年更新等の期間の定めのある労働契約の更新により雇用されている者の場合は次の点に留意する
定年到達後1年更新等期間の定めのある労働契約の更新により再雇用されている者が更新契約時期に離職する場合であって、労働協約、就業規則、雇用慣行等により当該離職係る事業所における定年到達後の再雇用期間について明示的な定め又は慣行がある場合は、当該離職の時期がその定められた再雇用期間の終期であるときは定年退職として取り扱い、当該離職時期がその定められた再雇用期間満了前であるときは、離職時の事情に応じて、事業主の都合による解雇、任意退職等に分類する
定年到達後1 年更新等一定期間の定めのある労働契約の更新により再雇用されている者が更新時期に離職する場合であっても、定年到達後の再雇用期間について明示的な定めも慣行もないときには、原則として契約期間の満了による退職として取り扱うが、契約を反復更新することを常態としている場合(契約期間の定めのある労働契約が1回以上反復更新され、再雇用された時点から継続して3年以上雇用された場合をいう)には、離職時の事情に応じて、事業主の都合による解雇、任意退職等として取り扱われることもあるので留意する
また、定年到達後、残務整理等のため再雇用され被保険者資格が継続された場合において、残務整理等の終了に伴い離職した場合、労働契約期間(不確定期限)の満了とみるべき場合がある
3年を超える確定期限のある労働契約が期間満了により終了した場合
60歳以上の者等(労働基準法第14条第1項各号に該当する労働契約を締結している労働者をいう)について契約が更新される場合には、上記同様に取り扱う
「工事終了まで」というような不確定期限のある労働契約が工事終了によって終了した場合
条件付契約が条件の成就によって終了した場合
任意退職
定年退職に準ずるものとされる場合も、これに含まれる
ただし、事業主の勧奨等によるものを除く
その他、事業主の都合によらない離職
例えば、次のような場合は、事業主の都合によらない離職として取り扱われる。
定年による離職の場合
定年による離職は、その形式が解雇であろうと、依願退職によるものであろうと、すべてこれに該当する
解雇の形式をとらず、事業主の勧告等により依願退職の形式をとった場合
労働協約、就業規則等に社会通念上妥当性のある理由(定年を除く)をもって解雇とし、又は当然に退職する旨の規定があり、これに基づいて解雇され、又は退職した場合
被保険者として取り扱われない取締役、役員等(20351 のイ参照)になったことにより被保険者資格を喪失した場合
1週間の所定労働時間が20時間未満となったことにより被保険者資格を喪失した場合(20605 参照)
移籍出向
出向のうち適用事業に雇用される労働者が当該適用事業の事業主における雇用関係を終了する場合であって、退職金又はこれに準じた一時金の支給が行われたもの。
この場合、退職金又はこれに準じた一時金が支給されたか否かの確認は、賃金台帳等の支払実績が確認できるものにより行う。
派遣労働者
一般労働者派遣事業に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者が、派遣就業に係る雇用契約期間の終了に伴い離職する場合は、喪失原因はすべて「2」である。(離職理由については21503 のj参照)
その他派遣労働者に係る取扱いについては、派遣労働者以外の労働者と同様とする。
「3」に該当するもの
離職による被保険者資格の喪失のうち、次のような場合が「3」に該当する。
例えば、次のような場合である。
事業主の都合による解雇
人員整理、事業の休廃止等による解雇等がこれに該当する。
事業主の勧奨等による任意退職
任意退職のうち、実質的には事業主の都合による解雇とみて差し支えないもの等次のようなものがこれに該当する。
企業整備による人員整理等のため、事業主が希望退職者を募り、被保険者がこれに応じた場合。
希望退職制度の導入時期が離職1年以内であり、かつ、当該希望退職の募集期間が3か月以内のものに限る。
事業主の退職の勧奨に応じて退職した場合(実質的には被保険者の都合による任意退職であるのに退職金等の関係から勧奨退職の形式をとった場合を除く)
事業主のいやがらせその他の強制によって退職した場合
社会通念上著しく妥当性を欠く定年制等により離職した場合
例えば、60歳未満の定年制(52203 のヌに該当する場合を除く)や高年齢者雇用確保措置が実施されなかった場合に、離職者の雇用継続の希望の有無にかかわらず、従来の定年制により離職した場合はこれに該当する。
就業規則等に社会通念上著しく妥当性を欠く理由をもって解雇とし、又は当然に退職とする旨の規定があり、これに基づいて解雇され、又は退職した場合
喪失届のその他の欄
6欄(離職票交付希望)
被保険者の希望に従い記載する。
9欄(補充採用予定の有無)
事業主において、当該届書に記載される者の離職等に伴い、安定所紹介その他により補充のため採用を予定している場合は「1」を、また、採用を予定していない場合は「2」を記載する。
10欄(被保険者の住所又は居所)
被保険者の住所又は居所を何丁目何番地何号何某方と詳細に記載する。
11欄(被保険者でなくなったことの原因)
被保険者の都合によるものか否かを確認できるよう、特に雇用契約の際の契約期間を定めた事情に変更があった場合は、そのいきさつ等を含めて、できるだけ具体的に記載する。
12欄(1 週間の所定労働時間)
届出に係る者の4 欄(離職年月目)に記載した年月日現在の1週間の所定労働時間を記載する。