合併等で同一事業主と認められる場合の手続き
合併や事業譲渡などで従業員が別法人へ移る場合、原則は資格取得届と資格喪失届の提出が必要ですが、移る前と後の事業主が同一と認められる場合には資格取得届と資格喪失届の提出が不要となります。
同一事業主と認められるかは、提出書類に基づき各安定所で判断されます。
下記はその例です。(ただし細かな手順等は各安定所で異なる場合があります。)
吸収合併
法人Aが法人Bに吸収合併された場合
提出先
法人Aを管轄する安定所
提出書類
合併契約書
法人Aの登記簿謄本(写)
法人Bの登記簿謄本(写)
新旧事業実態証明書の提出は不要です。これは会社法上合併は包括承継であり当然に権利義務関係が承継されるため、合併の事実さえ証明されれば当然に同一事業主と扱うことができるからだと考えられます。
同一事業主の認定を受けた後の手続き
法人Aの事業所自体が無くなり、従業員が法人Bの事業所へ移る場合
廃止届を提出
廃止届⑦欄に統合先の適用事業所番号を入れることで、被保険者のデータがその事業所へ移る
法人Aの事業所が、合併後法人Bの一支店として存続する場合
雇用保険事業主事業所各種変更届を提出
名称を法人Aから法人B○○支店へ変更
営業譲渡
法人Aの一部事業を法人Bへ譲渡した場合
提出先
法人Bを管轄する安定所
提出書類
新旧事業実態証明書
営業譲渡契約書
法人Aの登記簿謄本(写)
法人Bの登記簿謄本(写)
同一事業主の認定を受けた後の手続き
移籍する従業員について転勤届を提出
分離独立
法人Aの一部門が法人Bとして独立した場合
提出先
法人Bを管轄する安定所
提出書類
新旧事業実態証明書
分社化が確認できるもの(議事録等)
法人Aの登記簿謄本(写)
法人Bの登記簿謄本(写)
同一事業主の認定を受けた後の手続き
法人Bについて雇用保険適用事業所設置届を提出
移籍する従業員については転勤届を提出
個人事業主の法人設立
個人事業主が法人Aを設立した場合(法人成り)
提出先
法人Aを管轄する安定所
提出書類
新旧事業実態証明書
法人Aの登記簿謄本(写)
同一事業主の認定を受けた後の手続き
雇用保険事業主事業所各種変更届を提出(事業所の名称を法人名へ変更)
個人事業主の相続
個人事業主aを個人事業主bが相続した場合
提出先
個人事業主bを管轄する安定所
提出書類
新旧事業実態証明書
個人事業主bの住民票
同一事業主の認定を受けた後の手続き
雇用保険事業主事業所各種変更届を提出(事業所の名称を新事業主名へ変更)
外部リンク(適用事業所に関する手続き)
要領
22701 同一の事業主の解釈の原則
次のいずれかに該当する場合は、「同一の事業主」として取り扱う
・単に会社の名称、組織に形式的変更がなされたにとどまる場合及び新事業主が旧事業主の権利義務を法令上包括承継する場合
・新旧両事業の資本金、資金、人事、事業の内容等に密接な関係があり、新旧両事業に実質的な同一性が認められる場合
22702 同一の事業主と認められる事例
単に名称、組織等に形式的変更がなされたにとどまる場合
・法人の名称に変更があった場合
・会社の組織変更(有限会社を株式会社とする等)があった場合
・法人が清算手続に入り、清算法人となった場合
・個人又は法人が破産の宣告を受けたが、なお業務を続行している場合
・株式会社が会社更生法による更生手続開始決定を受けた場合
新事業主が旧事業主の権利義務を民商法等によって包括承継する場合
・会社が合併(吸収合併でも新設合併でもよい)した場合
・個人事業主に相続があった場合
・事業の譲渡、事業の賃貸借、事業の分割、個人事業主が法人組織になった場合、法人組織(実質的には個人事業と同様と認められる場合)が個人事業になった場合等新旧両事業の資本金、資金、人事、事業の内容等に密接な関係があり、 新旧両事業に実質的な同一性が認められる場合
この場合には、退職金の支給の基礎となる在職期間の通算が行われないような場合であっても同一の事業主と認めて差し支えないものである。