未支給失業等給付
雇用保険による基本手当(失業給付)を受給中に本人が亡くなった場合、生計を同じくしていた遺族は死亡の日の前日まで(死亡時刻が概ね正午以後の場合は当日まで)の基本手当の支給を受けることができます。これを未支給失業等給付といいます。
受給資格決定前に死亡した場合には当然何も支給されません。
雇用保険による他の失業等給付(教育訓練給付、高年齢雇用継続給付、育児休業給付など)の受給者が亡くなった場合も同様の制度があります。
未支給失業等給付の手続き
請求者(受給の対象者)
亡くなった方(本人)と生計を同じくしていた者で、優先順位は以下のとおりです。(以下の者以外は請求できません。)
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
生計を同じくしていたのであれば同居までは必要ありません。
請求期限
死亡した日の翌日から6ヵ月以内
提出書類
未支給失業等給付請求書 様式
死亡者の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類(死亡診断書など)
未支給給付請求者と死亡者との続柄を証明することができる書類(住民票記載事項証明書、戸籍謄本など)
未支給給付請求者が死亡者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類(住民票記載事項証明書、民生委員の証明書など)(別居の場合は送金の分かるものなど)
死亡者が受けようとしていた給付の申請書と添付書類
請求者の通帳またはキャッシュカードの写し
未支給失業等給付請求書の記入例
概要
53101
受給資格者が、離職後安定所に出頭し受給資格の決定を受けた後死亡した場合においてその者に支給されるべき失業等給付(この章においては、求職者給付及び就職促進給付)で、まだ支給されていないものがあるときは、死亡した受給資格者の遺族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者は、自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することができる。
遺族は受給資格者が既に失業の認定、又は基本手当以外の失業等給付の支給要件に該当することの認定を受けた後に死亡した場合には、当該既認定に係る失業等給付の支給を請求することができるのはもちろん、未認定の失業等給付についても支給を請求することができるが、この場合には当該死亡者について、死亡したため失業の認定を受けることができなかった期間についての失業の認定又は基本手当以外の失業等給付の支給要件に該当することの認定を受けなければならない。
支給対象者
53102
未支給失業等給付の支給対象者は、死亡者の配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものである。
死亡とは、官公署又は医師によって死亡の証明がなされ得るものであって、死亡が確認されていない行方不明は含まれない。
ただし、民法第30条の規定により失踪宣告を受けた場合は死亡として取り扱う。
「生計を同じくしていた」とは、生計の全部又は一部を共同計算することによって日常生活を営むグループの構成員であったということである。
したがって、生計を維持されていたことを要せず、また、必ずしも同居していたことを要しない。また、生計を維持させていた場合には生計を同じくしていたものと推定して差し支えない。
支給対象日
53103
未支給失業等給付のうち、死亡者が、死亡したため所定の認定日に安定所に出頭し失業の認定を受けることができなかった基本手当については、当該未認定の日について失業の認定をした上支給される。
したがって、本来受給資格者が死亡していなくても、もともと失業の認定を受けることができない日については支給されない。
未支給失業等給付の支給は、死亡の日以後の日分について行うことができない。ただし、死亡の時刻等を勘案し、死亡の日を含めて失業の認定ができる場合は、死亡の日についても支給して差し支えない。
この場合、おおむね正午以後に死亡した者については、死亡した日についても失業の認定を行うことができるものとする。
未認定の未支給失業等給付に係る失業の認定等
53104
遺族が、未支給失業等給付のうち、死亡者が死亡のため失業の認定を受けることができなかった期間に係る基本手当の支給を受けようとするときは、安定所に出頭し死亡者が当該基本手当を受けようとする期間に失業していたか否かについての失業の認定を受けなければならない。
また、基本手当以外の未支給失業等給付についても、死亡者がそれぞれの支給要件に該当していたことの認定を受けなければならない。
支給手続き
53105
未支給失業等給付請求書の提出
未支給失業等給付の支給を受けようとする遺族(未支給給付請求者)は、死亡者に係る安定所に、未支給失業等給付請求書に当該死亡者の受給資格者証を添えて提出する。
未支給失業等給付請求書には、次の書類を添付しなければならない。
死亡者の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類
例えば、死亡診断書、死体検案書又は検視調書の写し、住民票謄本等官公署又は医師の証明書
未支給給付請求者と死亡者との続柄を証明することができる書類
例えば、住民票の謄(抄)本、戸籍謄(抄)本、戸籍記載事項証明書又は住民票記載事項証明書
なお、未支給給付請求者が死亡者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を証明することができる書類を提出しなければならない。
例えば、住民票の謄(抄)本又は民生委員の証明書等
未支給給付請求者が死亡者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類
例えば、住民票の謄(抄)本又は民生委員の証明書等である
なお、別居していた者にあっては送金を受けていたことを証明する現金書留の封書等である
この他、本来死亡者が提出すべきであった失業等給付の支給をうけるための書類(失業認定申告書等)を提出する
請求の期限
53015
未支給失業等給付を請求しようとする者は、当該死亡者が死亡した日の翌日から起算して6か月以内に死亡者の管轄安定所に出頭して未支給失業等給付請求書を提出しなければならない。
このため、当該死亡した日の翌日から起算して6か月を経過すれば仮に死亡の事実を知らなかったとしても、原則として未支給失業等給付の請求をすることはできない。ただし、天災その他やむを得ない理由があるときはこの限りでない。